王子公園・春日野道高架下、コンクリートの仕事場

text=小泉寛明(神戸R不動産/Lusie inc.)


王子公園駅・春日野道駅周辺の高架下空間の外観と内部。中はこんな剥き出しのコンクリート空間。

以前から気になっていた場所があります。阪急電車・王子公園駅から春日野道駅にかけて続くコンクリート剥き出しの高架下空間。高い天井にアーチ型の梁。近年に建てられた建物とは一線を画した美しいコンクリート美。幹線道路沿いなので、通りがかる度、その姿に見とれていた人も多いのではないかと思います。

剥き出しのコンクリート美以外にも気になっていた点があります。それは自動車工場やガラス屋、ふすま屋など古くから生活系物品を修理・加工する仕事場になってきたことです。また近くには大安亭商店街という本格的な食材を買うためのマーケットがあったり、少し自転車で行けば水道筋商店街という庶民的な商店街があったりして、リーズナブルで旨そうな食べ物が売っているお店が沢山並んでいます。小腹がすいたら揚げたてのコロッケでおやつ、夜は新鮮な刺身をアテに仲間と飲み会なんてことも気軽に出来てしまいます。近年、街の中心部は商業的な看板やチェーン店に埋め尽くされています。神戸の街も同様です。そんな風景に接していると、この少し取り残された感がありながらもプリミティブな魅力のある高架下エリアが妙に気になってきてしまうのです。


(写真上)王子公園・春日野道高架下エリアは、建具屋、ガラス屋、自動車工場などの修理・加工業の仕事場が集まる。(写真下)神戸っ子たちにとっては、言わずとしれた大安亭市場。ここにくるとアジアらしい雑多な雰囲気を味わえる。

実はこのエリア、結構便利な場所にあると思います。最寄りの阪急電車・春日野道駅や王子公園駅から大阪方面や京都方面へ移動しやすいという点のみならず、JR灘駅にも近く、遠距離移動も便利です。近くのコインパーキングの看板の表記には一時間100円、一日最大600円なんてところもチラホラ。僕らが拠点としている北野からは、自転車で移動すれば10分程度の距離感。六甲や王子公園、岡本の家からでも自転車移動が出来る距離感です。

僕達が紹介する物件は神戸らしい、坂の上の個性的なマンションや家が多く、街の坂とそのすぐ後ろに控える山とが織り成す景色が独特な魅力を放っています。神戸R不動産がスタートしたのは約3年前のことですが、その当時は東京から、イラストレーターや編集者、ITのプログラマーの方々が越してこられました。最近は設計業や企画業の方々が、住みかやアトリエを神戸の坂の上に持ち始めています。そして坂の上に越してこられた方たちから言われるのが多いことは、「この辺りの山の風景や山から吹く爽やかな風は日々の環境として満足できる。でも音を出せたり、ものを創ったりできる場所もここと別に近所で探したい」なんて相談です。そういった作業は、一般的な住宅地ではできませんから。どこかに、そんな物件はないか……といつも心のどこかで探しながら街を歩いていました。


王子公園駅近くの高架下。家具職人・小寺さんの依頼を受けて見に行った。

そんな折、神戸で家具職人をしていた小寺昌樹さんという方から相談を受けました。「会社を辞めて独立するので工房を探している」。連絡を受けたのが去年の夏頃。ニーズはよく似ていました。家具を創るのに音が出せて、商業エリアでないところ。でも気持ちよく作業ができる場所が良い。どこが良いのだろう……。そのとき、どちらからともなく、高架下いいんじゃない? なんて会話になって、それ以降、神戸R不動産では高架下の空間を強く意識するようになったのです。


小寺さんの家具工房。2階は商品展示スペースとオフィス。1階が工房になっている。

小寺さんとの会話から9カ月。小寺さんは高架下の物件を実際に借りて自分の居場所を自分の手で創り始めました。さすが家具職人、自ら窓枠やドア建具、床などを施工した空間は、以前の工業的雰囲気を残しつつも、セルフリノベーションによって2階にショールームも併設されています。アトリエとショップが一体となって一般の消費者の方にも彼の仕事を体感してもらいやすくなりました。古くからあるこの地のビジネスに馴染みつつも、今までこの界隈にあまり来たことがなかった人たちを惹き付ける場になろうとしています。

小寺昌樹さんの工房兼家具ショップ「Magical Furniture」のウェブサイト


自転車移動すれば結構便利な距離感。

少し視点を変えてみると、このエリアがとても便利で魅力的な仕事場エリアという気がしてきました。

今、神戸R不動産ではこのエリアの工房や事務所など仕事場向けという視点で物件開拓をしている最中です。このエリアで工房や事務所スペースを探しているという方、いらっしゃればお気軽にお問い合わせ下さい。

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